第3回:画像生成AIでコマをつくる

 

🎨 DALL·Eや他の画像生成AIで「漫画風イラスト」を作る

 

第3回では、漫画制作において欠かせない「コマ(イラスト)」を、AIを使って効率的に作成する方法を学びます。
これまでイラスト作成は、絵のスキルや専用ソフトが必要でしたが、近年の画像生成AIの進化により、誰でも手軽に高品質な漫画風イラストを生成できるようになりました。

 

🔸画像生成AIとは?

画像生成AIとは、テキストで指示(プロンプト)を入力することで、AIがその内容に基づいた画像を自動で生成してくれるツールです。代表的なものに「DALL·E」「Midjourney」「Stable Diffusion」などがあります。
たとえば「20代の日本人女性がパソコンの前で驚いているアニメ風イラスト」という指示を入力すると、その通りの画像をAIが数秒で作成してくれます。

 

🔸漫画制作における活用ポイント

  • コマごとに「情景」「人物」「感情」などを細かく指示して生成
  • 同じキャラクターを何度も登場させるために、特徴(髪型・服装など)を統一したプロンプトを作る
  • 構図(バストアップ、引きの絵など)やアングル(正面、横顔、俯瞰)を指定する

🔸コマの流れを意識した構成

1ページの中でコマが自然につながるように、「起承転結」の構成やキャラクターの動きの連続性を意識して画像を生成することが重要です。
例:
・1コマ目:悩んでいる女性(セリフ「どうすればいいの?」)
・2コマ目:AIと出会うシーン(セリフ「AIってすごい!」)
・3コマ目:制作風景(セリフ「楽しく描けた!」)
・4コマ目:出版後の笑顔(セリフ「出版できました!」)
という流れを想定しておくと、読者に伝わりやすい漫画になります。

🔸無料・低コストで始められる画像生成ツール

まずは無料で試せるツールから始めるのがおすすめです。以下のツールは特に初心者に人気です。

  • DALL·E(OpenAI):ChatGPTと連携して利用可能。日本語プロンプト対応。
  • Bing Image Creator:無料で使えて、比較的高品質。
  • Leonardo.Ai:商用利用可の設定もあり、細かい調整が可能。
  • Canva(Pro版):AI画像生成機能があり、そのままデザインに使える。

画像生成AIを使えば、「絵が描けない」「時間がない」という悩みを一気に解決できます。次回は、生成した画像をどのように組み合わせて漫画として仕上げるかを学びます。


📏 コマ割りと画像の流れを意識した生成テクニック

 

AIで漫画を作る際、単に画像を生成するだけでは、読者に伝わる「物語」にはなりません。
大切なのは、コマとコマのつながりや構成=「コマ割り」と「画像の流れ」を意識することです。
ここでは、読者の視線の動きに沿ってスムーズにストーリーが伝わるような、AI画像生成時のテクニックを紹介します。

🔸コマ割りとは?

コマ割りとは、1ページの中で場面や時間の流れを分かりやすく伝えるための構成方法です。
例えば、以下のようなバリエーションがあります。

  • 同じキャラの「感情変化」を表現する:喜→驚→感動など
  • 「時間の流れ」を分ける:過去→現在→未来
  • 「場面の移動」を見せる:自宅→カフェ→スタジオなど

コマを大きく取ることで重要なシーンを強調し、逆に細かく区切ることでテンポよく展開させる…といった工夫も有効です。

🔸画像の流れ(ストーリーフロー)を意識する

画像生成AIでは、1枚ずつ画像を作成するため、事前に「全体のストーリーフロー」を明確にしておくことが重要です。
下記は一例です:

  1. 導入(起):悩んでいる主人公(例:「自分には絵の才能がない…」)
  2. 展開(承):AIとの出会い(例:「画像生成AIを知る!」)
  3. 転換(転):AIを使って漫画を作るシーン(例:「初めてのコマが完成!」)
  4. 結末(結):完成作品を公開して喜ぶ主人公(例:「ついにKindleで出版!」)

それぞれのコマで、「どのキャラクターが」「どんな表情・動きで」「どんな背景にいるか」を明確にプロンプトに含めることで、一貫性のあるストーリーになります。

🔸プロンプト例:コマごとに変化をつける

以下は、4コマ漫画を想定したプロンプトの例です。

  1. 1コマ目:「悩む日本人女性、ノートパソコンの前で暗い表情、室内背景、アニメ風」
  2. 2コマ目:「明るく目を見開く女性、画面に“AI”と書かれたウィンドウ、希望が見えた表情」
  3. 3コマ目:「楽しそうにPC操作する女性、笑顔、漫画のコマが画面に映っている」
  4. 4コマ目:「達成感ある表情の女性、Kindleの出版画面を見て喜んでいる」

🔸視線誘導を考えたレイアウト

漫画は基本的に「右上 → 左下」へと視線を流す日本語の読み順を前提に作られます。
コマ配置やキャラの視線、セリフの位置なども、視線誘導を意識することで読みやすさが大きく変わります。

🔸まとめ:AIでも「構成」が鍵

AI画像生成は非常に便利なツールですが、「どんな順番で、どんな構図で伝えるか」という“設計”がなければ、読者に響く漫画にはなりません。
まずはラフなストーリーボード(ネーム)を紙やメモで書き起こし、それをもとに1枚ずつプロンプトを組み立てていきましょう。


💸 無料or低コストで始める画像生成ツールの紹介

 

漫画制作やコンテンツビジネスを始めるにあたって、画像作成は大きなハードルになりがちです。
しかし、近年のAI技術の進化により、絵のスキルがなくても、誰でも簡単に漫画風イラストを生成できるツールが登場しています。
しかも、多くのツールが「無料」または「低コスト」で利用できるため、初期費用を抑えて始められるのが魅力です。

🔸おすすめの画像生成AIツール一覧

  • DALL·E(ダリー)|OpenAI
    ChatGPTに搭載されている画像生成機能です。日本語プロンプトに対応しており、初心者でも直感的に使えます。
    生成速度も早く、商用利用もOK。月額課金のChatGPT Plus($20)に登録することで利用可能です。

  • Bing Image Creator(Microsoft)
    Microsoftが提供する無料の画像生成サービス。DALL·Eの技術をベースにしており、無料で高品質な画像を作成できます。
    Microsoftアカウントでログインするだけで誰でも利用可能。日本語プロンプトもOK。

  • Canva(キャンバ)
    デザインツールとして有名なCanvaにも、AI画像生成機能が搭載されています。
    無料プランでも一部利用できますが、Proプラン(月額1,500円程度)では制限なく使えるため、デザイン作業もまとめて行いたい人におすすめです。

  • Leonardo.Ai(レオナルド)
    高品質で商用利用も可能な画像を生成できるプラットフォーム。
    毎日一定枚数まで無料で利用可能で、有料プラン(月額10ドル前後)でも手頃です。
    キャラクターのスタイルを保存・再利用できる「モデル管理」機能が魅力。

  • Craiyon(旧DALL·E mini)
    無料で使える軽量な画像生成サービス。出力品質はやや劣りますが、アイデア出しやラフ案作成に最適です。

🔸ツールを選ぶポイント

  • 日本語プロンプトに対応しているか
  • 商用利用が可能か(特にKindle出版や講座用の素材に使う場合)
  • 同じキャラクターを複数回生成できるか(スタイルの保存機能)
  • 生成枚数や解像度に制限があるか(無料枠の範囲を確認)

🔸まずは無料で試してみよう!

まずは無料で使えるツール(Bing Image Creator、DALL·E、Canvaの無料版など)から始めて、使い勝手や生成精度を体感してみましょう。
特にBingやCanvaは、操作も簡単で日本語にも強く、初心者にとって入りやすいツールです。

🔸まとめ

画像生成AIは、これまでプロに頼まなければできなかった漫画イラストの制作を、誰でも・今すぐ・低コストで可能にしてくれるツールです。
あなたのアイデアやストーリーをビジュアルに落とし込み、魅力的な作品を作るために、ぜひこれらのツールを活用してみてください。